発注者/専龍寺
工期/2009〜2012年
受注形態/設計施工
概 要
大阪市平野区に所在し、神社とともに集落の中心をなす寺院で、檀家のみならず、町内の集会所としても利用されていた時期があった。中規模な浄土真宗本堂を山門・鼓楼・庫裡・客殿が取り囲んでいる。今回の整備では江戸時代中期から後期にかけて建設された主要建物の解体修理と造園改修等の外構工事を行った。
表門と鼓楼 竣工 |
■表門 切妻造り、桟瓦葺きの建物であったが、元は本瓦葺きであったことが判っている。今回は、一旦解体して腐食柱や貫の取替え、組物の整備を行い、軒廻り改修を施して屋根勾配を強めて、本瓦葺きとした。両袖塀は新たに整備を行った。 ■鼓楼 重層、本瓦葺きの建物で、解体修理を行なった。外装は、軒廻りから漆喰塗り込め、上層四面窓は火頭型に枠を造り、漆喰塗り込めとする。下層からは階段を掛けて上層に登り、太鼓で時を告げていた。 |
本堂 竣工 |
■本堂 入母屋造り、本瓦葺き、背面漆喰塗り込め。中規模な真宗寺院本堂の基準となる建物で、東面する。三十畳の外陣の三方に広縁を廻し、中央に内陣、左右に余間を造っている。内外陣境には貼り付けの組物を組み、極彩色で彩られ、全体には黒漆をかけて、金箔押しを施し、中央内陣天井は折上げ格天井、余間は格天井、すべて絵天井としている。 今回の半解体修理により、小屋組み材からは旧虹梁のや柱材が転用されて残り、天井棹縁上端からは「文化七午六月上旬作之」(1810)の墨書が発見された。棟札等はなく、建立の時期がこの時になるかは定かではないが、堂廻りの柱が一間毎に立てられているなどは、古い形式に属する。 |
内陣天井 |
内外陣境 |
客殿 竣工 |
■客殿 切妻造り、桟瓦葺き、玄関入母屋造りの建物で、本堂北側に接続して建てられた小規模な客殿。式台構えに小さな玄関の間をとり、和室二室に縁を付け、奥の間に床の間を設けている。 |